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多様化するニーズに応えるため、「見守りセキュリティサービス」の次世代機を4社で共同開発!

2023.01.25

株式会社スリーSは、2022年9月に「見守りセキュリティサービス」の次世代機「Type-S NEO」をリリースしました。この次世代機によって、スリーSの「見守りセキュリティサービス」は急速に変化するお客様ニーズにも対応しています。今回はスリーSと共同開発を行った東急セキュリティ株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社ハネロンのご担当者様に集まっていただき、開発における想いやこだわりなどをお聞きしました。

東急セキュリティとスリーSの想いが合致し、共同開発へ

スリーSでは、社会問題化する単身高齢者の孤独死などへの解決策として、2012年から「見守りセキュリティサービス」を提供してきました。そして、多様化する見守りニーズに対応するために次世代機の開発に着手しようとしていました。一方で、機械警備などのサービスを提供している東急セキュリティでも、次世代機の開発を考えていました。
東急セキュリティの技術・開発部部長代理の宮﨑知英氏はこう話します。

(左) 東急セキュリティ株式会社 技術・開発部 部長代理 宮﨑 知英様
(右) 東急セキュリティ株式会社 システム警備事業部 セキュリティ営業部 課長 盛田 禎二様

「東急セキュリティでも以前から見守りサービスを提供していましたが、幅広いお客様のニーズに応えるには、初期費用を抑えられる『設置工事不要』、そしてお部屋に通信回線がなくても使用できる『SIM回線内蔵』の2点を兼ね備えた端末が必要だと考えていました。そうした私たちが考えていた端末を3G回線ですでに提供していたのがスリーS様であったため、4G回線の次世代機を共同開発できないかお声掛けしました」

スリーSにとっても、東急セキュリティとの共同開発は次世代機に大きな恩恵をもたらすものでした。スリーSの代表である市原康太郎は、共同開発のメリットを2点挙げています。

株式会社スリーS 代表取締役社長 市原 康太郎

「メリットのひとつは、東急セキュリティ様がセキュリティサービスの豊富な知見をお持ちであることです。次世代機は高齢者の見守りだけでなく、ニーズが高まっている空き家のセキュリティ対策などの多様なお客様のご要望に対応できる端末にしたいと考えていました。セキュリティのスペシャリストである東急セキュリティ様の知見をお借りできれば、次世代機がより良いものになるのは間違いありません。そして共同開発のもうひとつのメリットが、東急セキュリティ様の高い認知度です。スリーSも2012年から見守りセキュリティサービスを手掛けていますが、セキュリティサービスを手掛ける企業として認知が拡がっていない分、プロ−モーションが思うようにいかないこともありました。そうした課題も、東急セキュリティ様とパートナーになることで解消できると思いました」

4社による開発で、優れた冗長性やデザイン性を実現

2012年に「見守りサービス」をリリースした際に端末開発を手掛けたハネロンが、今回もIoT機器の開発を担当。そして、内蔵SIMの開発はインターネットイニシアティブに協力いただくことになり、4社によって共同開発が進められました。

次世代機のベースとなったのは、スリーSが構想していた機器。そこに東急セキュリティの知見を活かすことで、次世代機が実現すべき要件が具体化されました。
4社によってどのような次世代機を実現しようと考えたのか。スリーSの市原は次のように語ります。

「東急セキュリティ様からは、冗長性(構造的余裕)の確保や保守面の強化についてご要望がありました。また、デザインについても次世代機では高い基準を満たしたいと私たちは考えました。高齢者を含めて誰もが押しやすい形状でありながら、若者が住むような洗練された内装の部屋においても馴染むデザイン。それが私たちの目指した次世代機です」

インターネットイニシアティブで開発の責任者を務めたMVNO事業部ビジネス開発部長の小野大典氏は、開発の苦労について以下のように振り返りました。

株式会社インターネットイニシアティブ MVNO事業部 ビジネス開発部長 小野 大典様

「見守りサービスは社会貢献性の高いサービスであり、新サービスは加入しやすい料金で提供したいという想いが私たちにはありました。一方で、東急セキュリティ様からご要望があったように、このサービスにおいて冗長化は重要な要素であるため、求められる品質は非常に高いものです。サービス価格を抑えながら必要な品質を実現するのが本当に大変ではありました。しかし、多くの苦労もありましたが、みなさんの開発にかける強い想いが後押しとなり、最高の品質を実現できたと思います」

また、押しやすくて洗練されたデザインを実現する上でも、多くの苦労があったとハネロンの開発部第2グループ・テクニカルリーダーの川端慎也氏は言います。

(左) 株式会社ハネロン 開発部 第2グループ テクニカルリーダー 川端 慎也様
(中) 株式会社ハネロン 開発部 第1グループ 主幹技師 井上 淳一様
(右) 株式会社ハネロン 営業部 主任 中平 雄太様

「東急セキュリティ様やスリーS様に納得してもらえるデザイン案をなかなか提案できなくて、とても苦労しました。でも、最後までこだわり抜いたことで、本当にすばらしいデザインを実現できたと思います。開発予算は随分オーバーしてしまいましたが(笑)、押しやすいようにボタンにわずかな角度をつけるなど、細部にもこだわりを凝縮できました。人感センサーなどの面でも、東急セキュリティ様に協力いただけたことで優れた性能を実現できました」

これまでの「見守りサービス」の概念を覆せる端末に

次世代機として完成した『Type-S NEO』には、開発に関わったメンバー全員が自信を持っています。

「実際に触っていただければ、『Type-S NEO』が従来のセキュリティ機とは大きく異なることが分かるはずです。デザインも洗練されているので、端末のデザイン性を強調したプロモーションが可能になりました。そうしたプロモーションはセキュリティサービスとしては異例のことだと思います」

『Type-S NEO』の完成度についてそう話すのは、東急セキュリティのシステム警備事業部課長の盛田禎二氏。東急電鉄の車両内などで展開している広告も、デザイン性を強く訴求するものになっています。

東急電鉄の車両内の中吊り広告。東急セキュリティからは『SAFE-1』という名称でリリース。

そして、リリースから間もない中でも、お客様から高い評価を受けているとスリーSの市原は言います。

見守りセキュリティサービスをリリースして8年になります。当社はそれぞれに立場の異なるユーザーから様々なご要望をお寄せいただき運用に活かしてまいりましたが、今回は、それらをハード面からバージョンアップしています。
具体的には、学生さん中心の管理会社様からは、デザインリノベーションで差別化と価値向上を訴求する賃貸住宅に『Type-S NEO』は安心・安全を加えた“新しいセキュリティ賃貸”を打ち出せる。デザイン的にも違和感を感じさせないため、客付けのPRポイントになりえると太鼓判をいただいています。
また、高齢者対応を始めている管理会社様からは、ボタン等が見やすく、操作がしやすい、運用もシンプルといったお声や、連れ合いを無くした高齢者が子供達のそばで賃貸住宅に住替える際に「貸し手側の家主様の心理的なハードルを引き下げてくれる」と言った声や、「借り手の方々には、思い出の詰まった家が転居で空き家になる心配」についても、遠隔監視が出来る新しい留守宅サービスとしても期待されています。
『Type-S NEO』はこのように「使い手」の皆さまのニーズにお応えする中で、多様なご活用が可能になり、国土交通省の「セーフティーネット住宅」の普及を推進する有望なツールとして、一部の地方公共団体からは助成の対象にもなりました。
今後は各シーンにあわせたプロモーションや、お取り扱いの事例を広く知っていただくための活動に力を入れていきます。

これからの展開について、東急セキュリティの盛田氏は以下のように自信をのぞかせました。
「新端末のリリースによって、“見守りサービスは高価”というお客様が持つ概念を覆せるはずです。これまで当社のサービスは東急線沿線のお客様を主なターゲットとしてきましたが、新端末はもっと広いエリアのお客様に提供できるサービスになると思います」